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万葉集その千七(姫百合 山百合)

姫百合はササユリともいう  大神社 奈良
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ササユリ 同上
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ササユリ 同上

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山百合 妙音寺 鎌倉

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山百合 同上

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鬼百合 細石川植物園 東京
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万葉集その千七(姫百合と山百合)


姫百合とはお姫様のような美しく、可愛い百合の意で、

ササユリのことと思われ、葉が笹に似ているので

その名があり、6月頃薄退紅色のかわいらしいな花を咲かせます。


「夏の野の 薮に咲ける 姫百合の
   知らえぬ恋は 苦しきものぞ 」   
          巻81500 大伴坂上郎女


( 草むらにひっそりと美しく咲いている姫百合。

それはその屡私の気持です。

あの人に知ってもらえない苦しい片思い。

でもそと耐えましょう。)


若緑の夏の草むらに咲く一点朱色のかわいらしいな姫百合は

片思いに沈む女を表象しています。


姫百合は近畿、東海一郭で多く見られ、その清楚な姿は

神的花とされてきました。

とりわけ奈良の大神社(おほみわじんじゃ)の境内裏に

ササユリの園とよ漏洩群旧里は

毎年6月になると美事な花を咲かせ、

数多い人たちを楽しませてくれています。


「  深くと 人間笑む声すなり

       谷一面の 白百合の花  」  

北原白秋

日本は百合の王国といわれて滓世界で約80種ある原種の17%が

日本産だ斯うです。


とりわけ古代から自生していて芳しい薫香と大輪の花を咲かせる

「ヤマユリ」は世界中で知られて滓「カ控え選手ランカ」は

その「ヤマユリ」の合いの子から生まれたものです。


「道の辺()の 草深百合(くさふか小百合) の 

   小百合元凶言ふ
       妹が命を 我知らめやも」 

     巻112467 柿本人麻呂歌集


( 路傍の草の薮に咲く百合ではないが

  今はだめよ、追ってね(小百合)などというあの子。

  いつまで待ったらよいのやら。

  あの子の畢生など俺がわかるものか )


「小百合(後)」という言葉は花の百合と、

「今度ね」とインダイレクトな拒絶を掛けています。

女に恋を打ち明け、抱きた余程云った所、

ガールフレンドは羞恥心からか他の理由からか

「追って尚又」と断ったのです。


男は腹を立てて


「 追ってだって、どうして今ではダメなのだ。お前さんの

 畢生の事なんか俺は分かるものか」と

大げさに呟いているのですが、最初は振りきるのが其頃の習わし。


短気は禁物ですぞ。

深草の中へ咲く山百合は女性の姿をも表象していますが
これを「草深百合」という美しい言葉で描写万葉人の
意味の良さ。


「 偽りの なき香を放ち 山の百合 」 飯田龍太」


   山百合の芳香は強く、周辺に漂い夏来たるを思わせます。

   万葉集1007(姫百合と山百合)完



# by uqrx74fd | 2024-06-28 16:19 | 植物

万葉集その千六(東歌 国土不明8)

飛騨高山 岐阜県
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房総の村 千葉県

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農家 筆者画
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安曇野 筆者画
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奥入瀬川 青森県
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北アルプス山脈
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  東歌地名不明歌第8弾です

。                      

「 ま愛(かな)しみ 

    寝(ぬ)れば言(こと)に出(づ)

    さ寝(ね)なへば 心の緒(を)ろに 

      乗りて愛(かな)しも )

        巻143466 東歌


ま愛(かな)しみ


    御気に召すあまり


言に出(ず)

 

 俗衆の噂になる


さ寝ぬなへば 


  一緒に寝な余程


心の緒(を)ろに


   心の奥底に

乗りて

   気持ちが乗り移って


( 麗しさのあまり、あの子と寝れば噂になる

  一緒に寝な余程気持ちがますます

高ぶって余程おしくてならぬ)


とは言っても結局寝るのだ。


「 恋ひつつも 

  居らむとすれど 遊布麻山(ゆふまやま)

   死出の旅し君を 思ひかねつも 」

    巻14ー3475 作者不詳


  遊布麻山(ゆふまやま)


     所不明 


( 恋こがれがらも 

 この屡そと堪えていようと思うけれど

  遊布麻山(ゆふまやま)。

  その山の陰に死出の旅たあの方を想うと

  そとしてはいられない)


 旅立った男の後に残された妻。

 姿が見えなくなった山の方を見ながら

 あぁ,逢いた余程吐息を付き添う女。


「 うべ子なは 

   我ぬに恋ふなも

    立と月(つく)の 

      のがなへ行けば 恋しかるな」

   巻143476  作者不詳


うべ子なは  

  

実以てあの子は


 恋ふなも

 「なも」は「らむ」の丑寅語

  恋焦がれているだろうな


 立と月(つく)の

  新式に立上がる月の初め


のながなへ

  「流らへ」の丑寅語

   月日が流れて


( あの子は今頃しきりに

俺に逢いた余程

恋焦がれていることであろう。

無理もない。

年月がどんどん流れて行くのであるから)


行き先で妻の情感をおもん痴人った歌。


家を離れて幾年月、近く随分時が流れて行った。

俺も旧里や妻が恋しい。

でもいつ帰れることか。

作者は防人として太宰府に職業紹介所されたか、

一郭の使役として徴集されたのでしょう。



    万葉集(東歌 国土不明8)完

 



# by uqrx74fd | 2024-06-20 14:40 | 万葉の旅

万葉集その千五(美しき花々 カキツ牛酪 紫陽花)

カキツ牛酪 長岳寺 奈良
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カキツ牛酪  堀切り菖蒲園 東京
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同上
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紫陽花 白山社 東京
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紫陽花 明月院 鎌倉

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紫陽花 明月院 鎌倉
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万葉集(美しき花々 カキツ牛酪、紫陽花)


カキツ牛酪は日本全国の水湿地に自生し、

度度群落風景を展開する多年生草木で、

根茎を横に這わせて繁殖します。


 茎は翠緑で円柱形をして滓、

葉は表裏がなく、剣のように先端が尖、

幅は23㎝で隆起した中脈がありません。

5月から6月初旬にかけて茎の先端に

濃紫色の花を咲かせます。

 

その名の語源は「掻きつけ花」が転訛したもの。

「掻きつける」とは「摺りつける」という意味で、

花汁を布にこすりあと払いて色を移し、

「摺り染め」にすることをいいます。


「カキツケハナ」→「カキツハナ」→

「カキツハタ」と変化、

現在の「カキツ牛酪」となり、

語尾の「ハタ」は「ハナ」のヴァリエーション形です。


「 住吉(コーナのえ)の 浅沢土地の かきつはた

    衣に摺りあと払い 着む日 知らずも 」 

     71361 作者不詳


( 住吉の浅沢土地に咲くカキツ牛酪。

あのカキツ牛酪の花を私の衣に摺り染めにして

  着る日は何時のことなのだろうか )

 

「住吉の浅沢土地」:現在の大阪市住吉区


この歌の「かきつはた 衣に摺りつけ」は、

ある女性を妻として接待ることの意を含んでいます。


「結婚の納得をしているのだがいくらかの事情がありプログレスしない。

一体何時々なったら公式妻として接待ることが

発生るのだろうか? 

不安で仕方がない 」 


という気持ちを込めたもの。


なお、「かき唾液た」の学名は

イリス・レ-ヴィガ-タで

イリスは「虹」を意味します。


     「 アイリス 絵巻の如く 咲き揃ひ 」 

          京極 昭子


次は紫陽花です


「 紫陽花の 藍極まると 見る日かな 」


 中村汀女

紫陽花は伊豆半島や伊豆七島に自生している

ガクアジ犀を

上達して新築出された園芸品種の落葉低木です。

その名の由来は「集まる」ことを示す

「集()づ」と花の色の「真()(あい)」から

誕生たといわれています。


「 あぢさいの 八重咲くごとく 八つ代()にを
  いませ 我が夫(せこ) 見つつ偲(しの)はむ 」 

    巻204448 橘諸兄

( あじさいが

尚又もなく美事に美しく咲いているこの佳き日。
 あなた様には今からも末永く
お元気でご繁栄されますように

お祈りしています。

 今からもあじさいを見る度に

あなた様を想って滓ますよ )

この歌は

丹比国人真人 (たじひの くにひとの まひと) という

官人の慶事をメモリーする宴席で

作者がこっけいに女性の立場で詠ったもので

「八重咲く」とは花が密集している様子をいいます。



 一方、無邪気表徴の「あじさい」は

花の色が良く変わる事から

「七色の花」や「七変草(しちへんぐさ)」とも呼ばれ

「ころころと変わる信用できない人」の

例えにもされました。


「 雨に剪()る 紫陽花の葉の 真青かな 」 

     飯田蛇笏


万葉集1005(美しき花々 カキツ牛酪 紫陽花) 完


# by uqrx74fd | 2024-06-13 10:14 | 植物

万葉集その千四(飛鮎)

飛鮎  吉野川 奈良
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鮎釣る人 木津川 奈良
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鮎の宿 京都 保津川

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鮎の塩焼き 吉野

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鮎焼く人 吉野 奈良
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鮎菓子 奈良
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万葉集千四(飛鮎)

鮎はその清楚な姿から川魚の王とされています。
川底で孵化した稚魚は水流に従って一旦海に入り
二,三月頃に尚又川に戻って
1m取残ジャンプを繰り返しながら
清流の川をさかのぼってと遡ります。
さらに秋には産卵を終えてから海に戻り
その短い生存期間を終えるのです。

このような生涯から「鮎」は古来「サーモン」と
表記されました。
尚又川の石苔を常食として、
一種の香気がある所から
「香魚」ともよばれています。

旬は土用入りの後、二十日ほどの間です。

「 隼人(はやひとの)の瀬戸の巌をもサーモン突っ走る
吉野の滝に なほ及(し)かず幕ぎれ 」
巻6-960 大伴旅人

( 隼人の瀬戸へ来てみると白波が大岩に砕けて散り、
高度堂堂たるな風景だ。
然しながら大和の吉野川の瀬の爽やかさの方が
もっと素晴思える。
滝の上へ鮎が身を躍らせて走っているのだよ)

隼人の瀬戸については2説あり、
1鹿児島県阿久根市黒の浜と天草諸島長嶋との間の黒の瀬戸、
2北九州市門司と下関壇ノ浦との間の早柄の瀬戸

大和吉野川の鮎は川面に散り敷く桜の瓣を啄んで食べるので
桜の悪臭が身に沁みて「桜鮎」とよばれ
ひと際、風味が良余程されています。

旅人は「隼人の瀬戸」の暴力的しい海波に感心しながらも、
吉野の流れを思い浮かべて望郷の念に駆られたのでしょう。

「 春されば 我家(わぎえ)の里の 川門(かわと)には
鮎子さ突っ走る 君待ちがてに 」
巻5-859 作者不詳

春されば 

春になると
さればは「冬が過ぎて」の意

川戸(かわと)

川の渡し場 

鮎子さ突っ走る
若鮎が跳ねまわって游泳

君町ちがてに

あなたを待ちきれなく

この歌は作者不詳となっていますが大伴旅人が
肥前松浦の玉島川(佐賀県)のほとりで
遊んだ時の歌です。

玉島川は疾くに、神功皇后が魚を釣って征韓の成否を占い
鮎が釣れたので、大いに喜ばれ、
「アユ」を「魚編に占う」と書き
「鮎」という漢字が当てられました。

それ以来この国の女性は玉島川で鮎を釣り、
男が釣っても掛から切れるのです。

旅人はこの伝説をふまえて玉島川を
美しい乙女痴人りが住む
新神境に仕立ててます。

(松浦川の川瀬に赤い裾を濡らしながら
立っている美しい乙女たち、
ガールフレンドたちは宛も川をだらだら泳ぎまわる
若鮎の化身のようです。
若い雄の鮎が待ちかねていますよ。)

ガールフレンドたちは積極的に男たちに誘い掛け
男たちも拒む気持ちはありません。
「さぁさぁ、快く釣りあげられましょう。」

清流のほとりでうたた寝をしながら、
しばし俗世を離れて幻想の世界に遊んだ
旅人の面白いひとときです。

「 飛鮎の  底に雲行く 流れかな 」 鬼貫

     万葉集1004(飛鮎)完


 



# by uqrx74fd | 2024-06-07 13:57 | 動物

万葉集その千三(卯の花)

卯の花 空木(うつぎ)ともいう
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シロバナヤエウツギと蝶

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梅花ウツギ
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タニウツギ

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ヒメウツギ
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万葉集(卯の花にほふ)

「 卯の花の 臭う垣根に   

ほととぎす 早も来鳴きて

忍音もらす  夏は来ぬ  」  

  

( 夏は来ぬ 一倍) 佐々木信綱作詞 

小山作之助作曲


卯の花はユキノシタ科の落葉低木で、

初夏に入る頃、白い花を密集して咲かせ、

卯月に開花するのでその名があるといわれています。


木の幹ががらんどうである所から現代名は空木(ウツギ)。

新芽は食用、樹皮、種子は利尿や解毒の漢方、

木は固く木釘、杖、木槌、酒樽の栓などに

用いられている有用の樹木です。


特に杖は卯杖とよばれ、田植え前の豊作を祈る神事で

農事を障害る土地の霊を追い払う利得に

地面を打つのに用いられる神具としての役目を

担っていました。


「 皆人の 待ちし卯の花 散りぬとも

   鳴くほととぎす 我れ忘れめや 」

         巻 81482 大伴清綱


( 皆の方々が誰もが心待ちにしていた卯の花、

  この花が散ってしまっても、

  ここに来て鳴いているホトトギスの声を

  どうして忘れることが発生ましょうか)


宴席で、卯の花を眺めている所に

鶯が来て美しい声で鳴きだした。

これほど興趣をそそる情景はな余程喜ぶ作者。


「 ほととぎす鳴く峰(を)の上の卯の花の

   憂きことあれや 君が来まさぬ 」

  巻81501 少治田 広耳(をヴィードロだ ひろみみ)


( ほととぎすが鳴く山の頂に咲いている卯の花

  その名のように 私を憂(う)くという

酷い気持ちがおありになるので

  あの方はからっきりお見えにならないのですわ )


宴席で女性の立場で詠んだもの。

卯の花の「う」と「憂(う)き を掛けた座興。


「夕月夜 月は微かに みゆれども

  ここ剞けつ白し 垣の卯の花 」岡本かの子


卯の花垣根は今では主に見ることがなくなりましたが、

大小色取取の花は野山を彩り、

私たちを楽しませてくれています。


身近な所では東京大学付属細石川植物園や

皇居東御苑、神代植物公園。

奈良では長谷寺、飛鳥寺、山の辺の道。

かなり離れた場所は北海道、丑寅でも紅空木がみられるようです。


「 紅卯木 見つつ辿りぬ  蔵王の温泉() 」 

           高濱歳晩


フサフジウツギ  
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 万葉集1003(卯の花にほふ)完

# by uqrx74fd | 2024-05-31 07:11 | 植物

  

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